３．テーブル形状別の座れる人数の目安・計算方法
テーブルの形状によっても、配置できる椅子の数や座り心地が変わります。ここでは代表的な形状ごとに、サイズと座れる人数の目安を紹介します。オフィスでよく使われる長方形（角型）や円形に加え、正方形や楕円形の場合についても見てみましょう。
■長方形テーブル（角型テーブル）
計算方法（Excel数式例）
= 2 * INT( テーブル長さcm / 60 ) + 短辺想定着席数（両側の合計）
- テーブル長さcm / 60：1人あたりの必要スペースを「60cm」として、長辺片側に何人座れるかを求める。
- INT(...)：余りを切り捨てて整数の人数に。
- 2*：長辺の両側に座れる人数の合計。
- 短辺想定着席数：左右両側の短辺合計人数を加算。
最も一般的な形で、会議室や食堂など幅広く使われます。長辺の両側に椅子を並べ、必要に応じて短辺（テーブルの端）にも椅子を配置できます。長方形テーブルでは長さが座席数の鍵になります。
例えば、幅120cm×奥行80cm程度のテーブルなら4人用（長辺に2人ずつ）です。少し長めの幅150cmなら4～6人用で、通常4人が快適ですが短辺も使えば最大6人まで座れます。さらに幅180cm×奥行90cmなら6～8人用（長辺に3人ずつ＋短辺に1人ずつ）となり、ホームパーティーや部署内会議でも対応できるサイズ感です。
このように長方形テーブルでは、長さが約30cm伸びるごとに各辺に1人ずつ増やせるイメージです。テーブルが十分な長さであれば、端にも座れるため長辺×2＋短辺×2人が最大収容人数になります。
オフィスの会議用として大型の長方形テーブルを使う場合は、さらに大人数に対応できます。例えば長さ240cmほどのテーブルなら8～10人、300cmなら10～12人、400cmクラスになれば14～16人程度が着席可能です。実際、5mを超えるような特大サイズ（例：500cm×150cm）のテーブルでは20人前後が座れるものもあり、役員会議室や大会議室向けに用いられています。ただしこれほど長大なテーブルになると部屋の搬入経路や配置スペースの確保も難しくなるため、必要な人数に見合ったサイズを選ぶことが大切です。
■円形テーブル（丸テーブル）
計算方法（Excel数式例）
= INT ( PI () * テーブル直径cm / 60)
- PI()：円周率（約3.14159）
- テーブル直径cm：円テーブルの直径（例：120）
- 60：1人あたり必要とされるスペース（単位：cm）。
※目安としては：ゆったり着席：70cm、通常着席：60cm、詰めて着席：50cm
円卓は全員の距離が均等で、対話がしやすい形状です。角がないぶん柔らかな印象を与え、リフレッシュスペースや小規模ミーティングにも適しています。円形テーブルは直径の長さによって座席数が決まります。
目安として、直径100cm程度なら2～4人掛け、直径120cmなら4人掛けが適切です。中型の直径150cmでは6人がゆったり座れ、直径180cmまで大きくなると8人まで対応できます。円形の場合、テーブルの周囲をぐるりと囲んで座るため、一人あたり必要な周長スペースがおおむね60cm前後と考えると計算がしやすいです。
例えば8人座りたい場合、60cm×8人＝約480cmの円周が必要になり、それに対応する直径は約153cm（480÷3.14）となります。したがって8人用には直径150cm以上が望ましい、という具合です。実際の使用では椅子の大きさや人の体格にもよりますが、カタログ等で「○人用」と記載されている円卓は、このような計算に基づいて決められています。
円卓は少人数での打ち合わせや休憩スペースで効果を発揮します。全員の顔が見渡せるため会話がしやすく、フラットな関係で話し合いたい場面にも向いています。ただし、大人数になると円形テーブルは非常に大きな直径が必要になり、部屋に収まりにくくなります。最大でも直径2m程度（8～10人用）が一般的な上限で、それ以上はテーブルを複数組み合わせたりU字配置にするなどの対応が現実的でしょう。
■楕円形テーブル（オーバルテーブル）
計算方法（Excel数式例）
= INT ( ( PI () * (長辺cm + 短辺cm) / 2 ) / 60 )
- PI()：円周率（約3.14159）
- (長辺 + 短辺) / 2：楕円の平均直径（近似的な半径）
- / 60：1人あたりに必要な着席幅（cm）。通常使用時は60cmを目安とします。
楕円（長円）形のテーブルは、長方形と円形の良いとこ取りをした形状です。長辺側は直線に近いためスペース効率が良く、人がたくさん座れます。一方で角が丸くカットされているので圧迫感が少なく、見た目も優しい印象になります。楕円形テーブルの座席数は同じ長さの長方形テーブルにほぼ準じます。
例えば長さ180cm×奥行100cmほどの楕円テーブルなら6～8人用、210cm×110cmなら8～10人用が目安です。短辺の尖った角が無い分、出入りがしやすかったり、若干ゆとりを感じやすいメリットがあります。デザイン性も高いため、応接室やカフェ風のミーティングスペースに採用されることも多い形です。
■正方形テーブル（スクエアテーブル）
計算方法（Excel数式例）
= 4 * INT( 一辺の長さcm / 60 )
- 一辺の長さcm：テーブルの一辺の長さ（すべて同じ）
- 60：1人が快適に座るために必要とされる幅（60cmを標準とする）
- INT(...)：小数点以下を切り捨て、端数による過大評価を防ぎます。
正方形は辺の長さが同じテーブルです。小さめの正方形（例えば80cm×80cmなど）であれば各辺に1脚ずつ椅子を置けるため4人用として使われます。一人用デスクを並べて作るミーティングテーブルなども正方形レイアウトの応用と言えます。
ただ、大きな正方形テーブル（例：150cm×150cmなど）はあまり一般的ではありません。テーブル中央が空きやすくスペースが無駄になりがちなので、長方形や円形に比べると利用シーンは限られます。少人数の打ち合わせなら正方形でも十分ですが、人数が増える場合はテーブルを連結したりレイアウトを工夫して対応するのが現実的でしょう。
以上のように、テーブルの形状ごとに適した人数の目安があります。長方形は収容力が高く多用途、円形はコミュニケーション重視、楕円形はデザイン性と実用性のバランスが良い、といった特徴を踏まえつつ、必要な座席数に見合ったサイズを選ぶことが大切です。
４．快適な配置のためのスペース確保
テーブル自体のサイズと座席数の関係がわかったら、次に椅子を配置するための周囲スペースにも目を向けましょう。いくらテーブルに人数分の椅子が付けられても、椅子を引いて座ることができなかったり、通路が狭くて人が通れなかったりしては実用に支障が出ます。オフィスの会議室や食堂レイアウトでは、テーブル周りのレッグスペース（足元空間）と動線を確保することが快適性の鍵となります。
一般的に、椅子を引くためにはテーブルの縁から後方に80～100cm程度の空きスペースが必要とされています。これは、着席時に椅子を後ろに引いて腰掛けたり立ち上がったりする際に、人がスムーズに動けるための距離です。椅子の後ろに壁がある場合でも最低80cm、後ろを人が通る動線になっている場合は100cm以上あると理想的です。
加えて、通路となる部分の幅も確保しましょう。人が一人通るには60cmほどでもすれ違いはできますが、ビジネスシーンではゆとりをもって100cm（1メートル）以上は通路幅を確保することが推奨されます。特に会議室では資料を持って移動したり複数人が同時に出入りすることもあるため、広めの通路があると安全かつスマートです。
具体的なレイアウト例を挙げると、長さ300cmの会議テーブルを設置する場合、テーブルの両側に各100cmずつ椅子用スペースを取ると、合計で約500cm（5メートル）の横幅が部屋に必要になります。奥行き方向も同様に、テーブルの短辺側に人が座るならその背後に80～100cmずつ、通路として人が通るなら100cm程度の余裕が必要です。このようにテーブル寸法＋αの空間があって初めて、テーブルの定員通りに人が座って快適に利用できると言えます。
もしレイアウト上どうしてもスペースが足りない場合は、壁際にテーブルを寄せて片側だけ椅子を配置するレイアウトも選択肢です。例えば会議室で一辺を壁付けにすれば、壁側の後方スペースは不要になりますので省スペースになります。ただしその場合は定員が減ってしまう（片側は座れない）点に注意が必要です。あるいは先述のようにベンチシートを用いることで、椅子を引くためのスペースを省略することもできます（ベンチは出し入れせずそのまま座れるため、後ろの余裕が少なくて済みます）。
快適なレイアウトのためには、「テーブルサイズ＋椅子＋人の動くスペース」をトータルで考えることが大切です。せっかく人数に合ったテーブルを導入しても、部屋が狭苦しくなってしまっては本末転倒です。オフィスのレイアウト設計時には、部屋全体の寸法に対してテーブルと椅子を配置した際の必要寸法をシミュレーションしてみましょう。特に会議室では出入り口の位置やプロジェクター・ホワイトボード設置場所との兼ね合いもありますので、動線を遮らない配置計画を心がけます。
